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情報誌「くらしと」取材レポート

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2015年3月号

【減災ACT】 震災備忘録

20年後の被災地の想い 現代を生きる私たちに大きな衝撃を与えた「阪神・淡路大震災」。神戸という都市が、火に包まれ、ビルや高速道路の橋梁が倒壊する光景を、報道を通じて目の当りにし、誰もが戦慄を覚えた。あれから来年の1月で20年が経とうとしている。東日本大震災に懸念されている、震災の記憶の「風化」という問題と、神戸の人々がどう向き合ってきたのか。暮らす人、支える人、それぞれの立場からリアルな声と想いを聞いた。


自主的に避難訓練を実施。海と暮らす地区だからこそ、備え万全に

「久米島近海で大地震が起こると、発生から25分程で10メートルクラスの津波が到達すると言われていますが、浜川小学校の校舎は3階建てで高さが足りません。小学校から数分の場所で、4階以上の高さがあるアルトゥーレ美浜が、〝 一時避難場所〞 として必要なのです」
と語るのは、今回の防災訓練を主催した北谷町宮城地区の自主防災会の砂川会長だ。〝 一時避難場所〞とは、津波到達までに高台の避難場所へ行き着けない人々が、津波が通り過ぎるまで待機する場所。あくまで一時的な避難となることから、アルトゥーレ美浜が避難者に提供するのも上層階の廊下部分になる。この日も、避難してきた浜川小の児童たちは体育座りで廊下に並んでいた。

「この訓練は、この地区で自主的に行っているものです。3.11の津波を見て、どれだけ素早く、安全な場所に逃げられるかが大切だと知りました。アルトゥーレ美浜を避難場所にしたのは今回が初めてですが、これまでに7回、地域内にある別の高層の建物で避難訓練を実施しています。それは、町内のどこで地震に遭っても、誰もが迷わずに津波から避難できる備えが必要だと考えているからです。どこからでも美しい海が見える地区だからこそ、欠かせない備えです」(砂川会長)

逃げるのか?とどまるのか? とっさの判断は難しい

縄県は台風による風害や崖崩れなどの自然災害が多いことから、もともと防災意識が高い地域だ。しかし、めったに起きない地震には弱いという。2014年3月に沖縄で震度4の地震が起こった際にも大騒ぎに。

「沖縄県民は、風速40メートルの強風には慣れっこだけど、震度4の地震でこの世の終わりだと思う」と言った発言もネット上では飛び交ったという。それほどまで、地震に不慣れな地域だからこそ、東日本大震災で発生した津波で受けたショックは非常に大きかった。以後、地域の防災訓練に熱が入るようになった。

訓練には、浜川小学校の児童だけでなく、多くの地域住民も参加した。お盆の時期の週末、しかも悪天候にもかかわらず、50人近い人々が集まったことからも防災意識の高さがうかがえる。特に「地震が起きたときに、逃げるのか、とどまるのか。そのとっさの判断は難しい。
だからこそ、こうして体感できることはとても有意義だと思います」という、参加者の声は、訓練の目的を町内に住む一人ひとりが認識していることを教えてくれるようで印象深かった。

【1】子どもたちが目指すアルトゥーレ美浜は、近隣でも群を抜いて高い建物。
【2】体育座りができるスペースを一人分と考え、アルトゥーレ美浜では1000人を受け入れられる。
【3】「数百年とうい長い期間ごとだが、周期的に大地震は起きている。だから、備えることが大切」(砂川会長)


一人でも多くの人に助かってほしい。それは、誰もが共通の思い

アルトゥーレ美浜は、沖縄県で最大規模を誇るマンションだ。421世帯の居住者から、避難場所になることへの反対はなかったのだろうか。
「最初は敷地内の物が壊されたらといった不安の声もありました。しかし、誰もが3.11を記憶していますので、このマンションに逃げて助かる人が一人でもいるのならと快く受諾しました」と青木理事長は語る。

実際に、東日本大震災当日、震源地から遠く離れたアルトゥーレ美浜周辺も大騒ぎだったという。
当日もマンションの清掃をしていたマンションサポーターの細金さんは、当時をこう振り返る。
「北谷町周辺にも津波警報がありました。1時間後に1メートル程度の津波がくるというものだったのですが、あたり一帯が高台に逃げようという車で埋まってしまった。マンションの前の道も、車であふれかえり、前にも後ろにも進めない状況でした」
1時間後の1メートルの津波でもそうなのだ。10メートルクラスの津波がくるとなったとき、近隣に安全な避難場所があるのは、まさに九死に一生を得る思いだろう。
「4階以上の上層階の廊下を解放することで、約1000人の避難者を受け入れることになっています」とマンションアドバイザー(MA)の山中さんが語るように、近隣で暮らす多くの人の命を守るという重要な役割をアルトゥーレ美浜は担っている。

役割を明確にすることで、「共助」が当たり前のことになる

〝 一時避難場所〞という役割が明確だったことも、今回の受託の後押しとなった。「避難してきた人たちは、津波が収束したら支援物資が充実した別の避難所に移動となります。だから、廊下以外の待機スペースを用意したり、避難者用の飲料水や食料をマンション内に備蓄する必要はありません。特別な手間がかからないから、避難場所として開放できるという部分もありますね」(青木理事長)
また、長期の避難が必要となったら当然、アルトゥーレ美浜の住民も公的な援助に頼ることになる。
「役割分担をし、それぞれの立場でできる役割で助け合うのが大切。だから、マンションとしてもできる限りのことをするのは『当たり前』じゃないですかね」(青木理事長)
今回の訓練では、消防士によるAED講習も行われ、参加者は熱心にその操作方法を学んでいた。それは一人ひとりが人命救助という、個人でできる役割を担おうという決意を垣間見る光景だった。
災害時に一人でも多くの人に助かってほしい    この共通の想いを胸に抱き、できることをそれぞれが役割分担する。それこそが、減災を叶える「共助」の実現に向けて欠かせない要素であると、北谷町アルトゥーレ美浜の皆さんは教えてくれているようだ。

【1】防災訓練では多くの住民がAEDの装置を手に取り、万一の場合に備え、操作方法を学んでいた。
【2】「訓練以外でも地区とさらなる交流を図れれば、それも備えになるはず」と青木理事長は語る。
【3】「私たちにとっても、自動ドアの解除など避難者を受け入れる動きの訓練が必要です」と細金さん。



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