情報誌「くらしと」に掲載されている「トリクムクミアイ~トナリの管理組合の選択と決断~」の記事をご紹介!
“楽しい祭り”は一朝一夕にならず
−居住者による、居住者のためのイベントのつくり方−
【1】「秋穫際」はマンション居住者の有志による組織「遊志会」が主催。秋の味覚をふんだんに味わおうという狙いで、調理も「遊志会」が丹精こめて行う。
【2】12時にいよいよ「秋穫際」がスタート。マンションから居住者が、続々とやってくる。あいにくの雨ということもあり、温かいそばは人気の的。
ライオンズマンション大宮指扇第2(埼玉県さいたま市)
さいたま市にある指扇は大宮にほど近く、関東平野の真ん中のあたりに位置する街だ。
高層の建物やマンションは少なく、穏やかでのんびりとした風景がつづく。
西大宮駅から住宅や雑木林を横目に歩いていけば、約10分ほどで今回の取材先、「ライオンズマンション大宮指扇第2」にたどりつく。聞けば、こちらの自治会はユニークなイベントの企画で知られているという。
今日は、そうした活動の一環として毎年開催されている「秋穫祭」なるものが、行われているようなのだが・・・・・・。
「ふるさとの味」を皆で持ちよる「秋穫祭」
取材当日は折悪しくも台風が迫る週末だった。マンション恒例の「秋穫祭」が行われるというので出向いたのだが、風は激しく、雨は冷たい。「ホントにやってるの?」と半信半疑だった。
しかし、到着してみて驚いた。熱気ムンムンなのである。
ライオンズマンション大宮指扇第2で行われている「秋穫祭」は、居住者の有志が郷里の特産品などを持ち寄り、居住者みんなで味わおうというイベントだ。北海道産のシャケをふんだんに使った「ちゃんちゃん焼き」やホタテ焼き、同じく北海道の食材を使ったクリームシチューもあれば、信州そばもある。それを居住者の有志が楽しそうに調理している。参加しているのはほとんど男性。たがいに楽しそうに冗談を言い合いながら準備が進んでいく。
このイベントの主宰をしているのは、「遊志会」を自称する自発的な現在の参加者は40人。多くの自治会が、こうしたイベントへの参加者を募ることに苦労するなか、ボランタリーな組織であるにもかかわらず、この数。これは驚くに値する。しかし、これは一朝一夕に成し遂げられたわけではない。会の主要メンバーである剣隆(つるぎたかし)さんは、こんな来歴を語ってくださった。