情報誌「くらしと」に掲載されている「トリクムクミアイ~トナリの管理組合の選択と決断~」の記事をご紹介!
“楽しい祭り”は一朝一夕にならず
−居住者による、居住者のためのイベントのつくり方−
【3】老若男女が集い、会場の雰囲気は実に和やか。
【4】北海道産のシャケをふんだんに使った「ちゃんちゃん焼き」も人気の味。
【5】子どもたちは興味津々。
ライオンズマンション大宮指扇第2(埼玉県さいたま市)
自治会との共働で作りあげるイベント
「15年前のことだと思います。自治会が主宰する『夏祭り』は、それまで毎年行われていたのですが、どこかお仕着せのようで面白みに欠けていたんです。そこで私と当時のメンバーでディスコ大会をやってみたんですね。私はたまたま仕事でPRをやっているものですから、そこで得たイベントのノウハウを注ぎ込んで大々的にやったんです。そうしましたら、内部的には奥様方の評判も上々でしたし、テレビ局が取材に来てくださったりと、外からも大きな反響があったんです。そこで『夏祭り』が恒例化するようになったのですが、これが結構大掛かりで作業も大変なものですから、自治会のなかに『夏祭り』に特化した実行委員会をつくることになったわけです。現在は6人のこの委員会が核になって、自治会のほかのイベント、春秋の草取り、クリスマス会、餅つき会などを切り盛りするようになり、文化部長というポストもできました。言ってみれば、『遊志会』は、この文化部からスピンオフしたものなんです」
どこまでお祭り好きなんですか、と、ツッコミを入れたくなってしまうほどだが、といって居住者からの支持がなくてははじまらない。気づけば、子どもたちからお年寄りまで、みんな楽しそうに「秋穫祭」の出店に列をつくっているではないか。決して一部の有志が自分たちだけで楽しんでいるわけではない。居住者が一体となってイベントを楽しんでいるのが手に取るようにわかる。
だが、それだけではない。大掛かりなイベントを実施するにあたって、近隣の自治会や近隣住民との友好的な協力関係を結びながら行っているのも特筆に価する。自治会長の長谷川俊幸さんが語る。
「イベントの実際的な運営はみなさんにおまかせしてますので、私は対外的な仕事に専心すればいい。役割分担が明確ですから、自治会の活動も非常に円滑で、ありがたいと思っています」
自主的なイベントとはいっても、それは自治会との密なコミュニケーションと信頼関係なくしては成り立たないのだ。
「一番嬉しかったのは、ある居住者が引越しすることが決まったときに、お子さんが『引っ越したくない』って言ってくれたことなんです」と、剣さんは語る。
「子どもたちにとってはここが故郷になるわけですから、大人になってからも『楽しかったな』と思い出してもらえるような環境をつくっていきたいんですよね」
「秋穫祭」はいずれ、県人会のようなものに発展していけたらいいと、剣さんは未来の展望を語る。それ以外にも、居住者から歌詞を募り、それに曲をつけて「マンションの歌」をつくり、CDにして全戸に配布する予定もある。「夏祭り」では生バンドで披露することになるとか。
遊び心と情熱をもって、彼らはマンションライフをエンターテインメントへと変えていく。