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情報誌「くらしと」取材レポート

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情報誌「くらしと」に掲載されている「トリクムクミアイ~トナリの管理組合の選択と決断~」の記事をご紹介!

2014年3月号

【減災ACT】 震災後録

仙台市の内陸部で、何が起こったか。「まだ、使用済みのペットボトルが捨てられない。これに水をくんでおけば、何かあっても、最低限必要な水が確保できるって、思うから」東日本大震災から3年が経ち、日々のニューズから3.11に関する話題が消えつつある今でも、仙台で暮らす人々はその日を忘れることがない。東日本大震災後、あまり語られることのなかった仙台内陸部のマンションでは、何が起きていたのか?そして、何が必要だったのか?現地のリアルな言葉で記録していく。

「貯水槽から直接水を取り出す方法」など、防災訓練もより実践的なものに

コミュニティー力の強化の他にも、震災後に目に見えて実感できる変化がある。その一つは防災訓練の内容だ。
「今までは、消火や避難などがメインでしたが、現在は震災後の困難を解消するノウハウを共有する場になっています。例えば、停電になり水道が使えなくなったときに、マンションの屋上にある貯水槽から直接水を撮る方法などは、皆さんに喜ばれました。震災対応はモノだけではなく知識や意識も大切なのかもしれません」とMAの佐々木は語る。震災時、市内のほぼ全域のマンションの水道が止まり、多くの方が数リットルの水を手に入れるために配給の長蛇の列に並ぶという経験をした。そうしたときに、貯水槽の中にある数トンもの水が活用できれば、とりあえず水不足という大きな不安を軽減することができる。

背景には、大京アステージ東北支店のスタッフの9割以上が、震災直後からできる限り担当のマンションを回ったが、電気やガス・水道というライフライン、そして交通網も止まっていたため、支援の範囲にも限界があったという現実がある。その時に実感したのが、「震災後の3日間、マンションの皆さんだけで乗り切っていだけるだけの備えを提案できる管理会社」にならなければということだったという。

「管理会社の営業時間内に災害が起こるとは限らない。先に出た貯水槽からの水の取り方以外にも、備蓄倉庫や管理室などのカギを理事長や管理会社だけが管理するのではなく、暗証番号で開くキーボックスに保管するなど、「災害に強い管理組合」が実際に行っている、より実践的な情報を今後も提供していきます」と、MA指導を担当するインストラクターの遠藤も話す。

MAの秋葉(左)と佐々木。「2005年から立て続けに地震があり、仙台の意識は高かった」

壁面が崩れていても、「一部損壊」。被災後の修繕に残った課題

震災直後の困難と同時に、多くのマンション居住者を悩ませたのが、強い揺れによる建物の損害だ。阪神・淡路大震災のように建物が倒壊し、犠牲者が出たというケースはなかった。ただし、仙台市が行ったマンション管理組合へのアンケートでは、回答のあたマンションの66%でタイルやモルタルなどの剥離・落下が見られたというように、「一部損壊」と呼ばれる程度の被害が多くのマンションで報告された。

「たとえ、マンションのバルコニーの壁が崩れ、リビングから外が見える状況でも『一部損壊』という軽い認定になり、罹災の判定が低くなります。そうなると、修繕費を義援金や保険金で賄うことが難しいのです」とMAの秋場は指摘する。

管理組合で積み立てられている修繕費用は、震災など臨時の被害を想定していないケースが多い。
「一部損壊でも修繕費はかなりの額が掛かりますので、修繕費に対して管理組合の資金が足りないケース」もでてきます。そうなると一時金の徴収が必要になり、震災後の修繕に対する居住者間の合意形成に時間がかかることも。修繕工事の判断をするのは、管理会社ではなく、最終的にはマンションの管理組合です。管理組合で合意形成できないと、修繕は進まないのです」


LM泉中央第2は2年前に大規模修繕を行ったこともあり、「せっかくお金を掛けて直したのに・・・」というショックも大きく、修繕に対してはさまざまな意見が出たという。
「例えば、エキスパンションジョイントの部分などは、まだ直していないんです。見た目は悪いんですが、余震で壊れてしまうような部分にお金を掛けていいのかという意見が出て。でも、最終的には、できるだけお金は節約しようということで合意できた。それも、懇親会を積み重ね、いい関係を築いていた効果ですね」とLM泉中央第2の武沢副理事長は語る。修繕作業を円滑にしていくためにも、日頃からコミュニケーションをとり、お互いを思いやりながら、前向きな議論ができる関係を居住者間でつくっていくことが欠かせないのだ。


震災後3年がたち、「もうすでに街の姿は震災前に戻っている。当時は、辺りを見ると色々なところにヒビが入っていたりしましたが、今は元通りになりました」と皆さんから聞くように、仙台内陸部の「復興」はすでに一段落しつつある。そしてマンション居住者、管理会社それぞれに、あの日の体験をもとに「災害に強いマンションになろう」という強い意識が根づいている。その息吹を、仙台や東北地方にとどめるのではなく、全国の人々に伝え、広げていくこと・・・それも、減災への大切な第一歩だろう。


07.震災後、ホワイトボードを使って店舗の開店状況や水の配給情報を共有する光景。情報が一番の支援になることも。
08.仙台市の中心部には、今では震災前と変わらない平穏な日常の光景が広がる。
09.柱や梁など建物を支える「主要構造部」に被害は少なくても、壁や玄関などには「そのままにはできない」損傷が。

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