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情報誌「くらしと」取材レポート

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情報誌「くらしと」に掲載されている「トリクムクミアイ~トナリの管理組合の選択と決断~」の記事をご紹介!

2014年9月号

【減災ACT】 震災後録

20年後の被災地の想い 現代を生きる私たちに大きな衝撃を与えた「阪神・淡路大震災」。神戸という都市が、火に包まれ、ビルや高速道路の橋梁が倒壊する光景を、報道を通じて目の当りにし、誰もが戦慄を覚えた。あれから来年の1月で20年が経とうとしている。東日本大震災に懸念されている、震災の記憶の「風化」という問題と、神戸の人々がどう向き合ってきたのか。暮らす人、支える人、それぞれの立場からリアルな声と想いを聞いた。

「もう神戸には、大きな地震は起きないだろう」

今年4月27日、神戸市の中心街から6kmほど離れた須磨区の名谷27団地で大規模な防災訓練が行われた。意外なことに、この団地で防災訓練が実施されたのは、阪神・淡路大震災後"初"だという。

震災後、名谷27団地が大掛かりな防災対策をしなかったのには、2つの理由がある。1つは、竣工から30年間、ずっと自主管理してきたということだ。名谷一帯は、昭和50年代に神戸市住宅共給公社によって開発された団地群が建ち並ぶ地域。管理会社のサポートに頼らず、自分たちで各種清掃から修繕工事の手配、会計業務までこなすのが一般的だった。
「しかし、居住者の高齢化が進み、管理を理事会だけで取り仕切るのが難しくなってきました。そこで、昨年から大京アステージに管理業務を委託。それにより、今回のような大規模なイベントを開催することができました」と名谷27団地の管理組合理事長・谷田さんは語る。
これまで訓練をしてこなかったもう1つの理由は、「自分が生きている間に、もう大地震は起きないだろう」という共通の想いだ。もともと神戸という土地は、地震の少ない地域だった。その想いは、お話を伺った理事の皆さんの声にも表れている。
「大地震なんてひとごとだと思っていた。姉が東京に住んでいて、向こうは地震が多くて怖いなぁと。そんな準備もしていないところに、ドカンと、とてつもない音と衝撃がきた。飛行機が落ちたかと思ったよ」と戸田さんは当時を振り返る。

幸いにも、名谷27団地は丘陵地にあったことから、「食器棚から食器が落ちて割れたぐらい」で建物には被害がなかった。そんな「経験をして、大丈夫だったから」(谷川さん)という実感もあってか、名谷27団地の居住者の皆さんは取り立てて、防災の備えを必要と思ってこなかった。

「震災を体験した私たちは、その記憶を絶対に忘れない」

とはいえ、あれだけの大地震。生活への影響は大きかった。交通機関は機能せず、水道は1カ月近く止まった。「毎朝、仕事に行く前に、水が出た近くの公園の水道にポリタンクを持ってくみに行くのが日課でした。当時は若かったからできたけど、今、同じことするのは大変だねえ」と川上さんは振り返る。震災の被害は、三宮などの中心地が大きかった。当然、職場がその方面にあったとうい住民も多かった。
「ちょうど仕事の関係で、三宮で震災に遭ったのです。それは大変だった。ちょっと外に出れば、ビルが倒れ、助けを求める声が聞こえるのですから」(志方さん) 「私も、仕事に行かなければと自転車で三宮まで行きました。山を一つ超えて見えてきた街に戦慄を覚えました。そこには、戦争の資料映像や映画のワンシーンかと思える状況が広がっていたのです」(谷田理事長)

さらに、身内や知り合いが被害を受けたという方もいる。
「知り合いの方が避難所で長いこと暮らしていて、そこのコンクリートの床が冷たかったのか体調を崩したという話を聞きました」(村上さん)
「うちの実家が同じ須磨区なのですが、被害の大きかった地域にあり全壊したのです。だから、私は"もう神戸に震災はない"という意識は薄いかも」(川野さん)
「あの震災を実際に体験した私たちは、その記憶を絶対に忘れません。風化した、というのは経験しなかった人の意見じゃないでしょうか」(門田さん)

そう、あの記憶が風化することは決してないのだ。

「防ぐべきは、防災意識の風化。
そのきっかけを防災訓練で」

おそらく「風化」してしまうのは、"防災への意識"ではないか。だが、それも当然だろう。
「神戸の人たちにとって、震災のことはできることなら口にしたくないという気持ちもあるのでしょう」
と大京アステージの赤松さんはその想いを代弁する。

想像を絶する苦難や悲しみ。そこからの復興に多くの力を使ってきた。過去を思い出し、次の災害の備えを積極的に行うのは、容易なことではない。
しかし、東南海トラフ地震という大地震発生予測に加え、名谷27団地では高齢化という20年前にはなかった問題もある。
「20年前から変化した状況の中で、何が必要なのか。居住者の皆さんと考えることが大切なのです」と担当者の小出は話す。そして、その第一歩が、先の防災訓練だ。

「震災から20年。もう一度、管理組合や個々の家庭が、防災を見直すきっかけになればいい。月に一度の清掃活動で居住者はほとんどが顔を合わせているので、もともとコミュニティーは強いし、誰しも家族の安全を守るための備えは必要だという意識は持っているのだから」と谷田理事長は、願を込める。
「防災訓練を受けて、我が家も避難用リュックの準備を始めました」と語る西山さんのように、早速、防災意識は芽生えているようだ。

【1】管理組合理事の皆さんと大京アステージ神戸支店の小出、赤松。30年を超える歴史の中で培ってきたコミュニティー力を生かしながら、防災に取り組んでいく。
【2】この付近は神戸市の中で地盤の固い高台。大震災でも建物自体は軽微な被害で済んだ。
【3】理事会の皆さんは、昨年まで自主管理で団地を守ってきた。今でも、集まれば活発な意見を交わす。

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