情報誌「くらしと」に掲載されている組合取材レポートをご紹介!
震災備忘録
資金の確保策も、工法の選択も。
工事に関する管理会社からの丁寧な提案で「他人事」だった耐震改修が「自分事」になった。
LM豊玉の耐震改修工事は最初の提案から完成まで5年の年月がかかっている。当然、万事順調に進んだわけではない。特に大変だったのが資金面での調整だったと、会計担当の酒井さんは語る。
「実は、工事費が最初の試算に比べ、倍額以上になることがわかり、一度計画を見直しました。あまりの増額に中止の可能性も考えたのですが、今後の大規模修繕工事も踏まえた長期の予算計画の提案があって、無事に前進できました。居住者に高齢者が多いことを考慮し、毎月の修繕積立金を数千円増額するという案だったので居住者の皆さんの理解も得やすかったですね」
資金面だけでなく、工法についてのことなど工事に関わるあらゆる面で、管理組合と大京アステージでは提案とディスカッションを繰り返した。その中で信頼関係を強めていったという。
「私たちも最初は、耐震改修を『他人事』だと思っていました。そこに、皆さんが『自分事』に感じられるいい提案をしてくれました。それに、工事のスタートになった耐震診断の申請も、大京アステージさんに何から何までやっていただいた。あの作業は素人ではできません。何が必要かさえもわからない。安心して任せられる管理会社がパートナーにいるということは大きいですね」(樋口理事長)

工事の進捗情報を徹底的に開示。
情報という安心の提供が、マンションと管理会社の信頼関係の土台に。
LM豊玉からの信頼に応えるために設計担当の秋元は情報開示を徹底した。
「工事開始前、費用の増額だったり、事前準備に時間が掛かってしまったりと、あまりいい報告ができなかった時期もありました。それでも途中経過を欠かさず報告したことが、信頼につながったのならうれしいです」
情報開示は管理組合だけでなく、各居住者に対しても徹底された。
「工事の住民説明会も頻繁に開いていただいた。建設担当の方が懇切丁寧に説明をしてくれたので居住者の皆さんも真剣に聞いていました」(酒井さん)
さらに、エントランスにはホワイトボードを置き、工事の工程表を貼りだした。工事の内容やスケジュールだけでなく、ベランダに洗濯物が干せるかどうかの情報を載せたことも好評を得た。それでも、一番近くで声を聞くマンションアドバイザーの今永は、居住者一人ひとりの理解と協力が何より大きかったと振り返る。
「今回はときにはテレビの音が聞こえないような騒音を伴う工事が半年以上続きました。そうした状況ではトラブルが起こる可能性もあると思うのですが、おかげさまでそういったことはありませんでした。これは私たちの努力以上に、居住者さま一人ひとりが自分たちの協力がないと進まないと考えてくださったことの証明だと思っています」
耐震改修工事を成功させるには、多くの時間と努力が必要だ。でも、困難を乗りこえた先には大きな安心が待っているということを、久保木さんのひと言が教えてくれる気がする。
「工事が進む度に安心感が増していく気がします。出来上がったら、心からうれしいでしょうね」

