情報誌「くらしと」に掲載されている「トリクムクミアイ~トナリの管理組合の選択と決断~」の記事をご紹介!
"全壊からの復旧"。
手間と負担は最小限に。

ライオンズマンション長町一丁目管理組合/仙台市太白区
2011年3月11日夜、雪の舞う冷え込みのなか、2台の石油ストーブで暖をとりながら居住者たちはエントランスで夜を明かした。大島さんもそのひとりだった。
「指定避難所は満員。でも、町内会に入っていなかったので新たな避難場所の情報は伝わってこない。不安を抱えながらも、皆で食べ物を持ち寄って夜をしのぎました」
コミュニティ意識の希薄なマンションだったが、お互いに助け合い、共に過ごしたことでコミュニケーションが深まり、今では声を掛け合うことが増えたという。さらに、これを機に町内会に加入を検討。積極的に防災対策にも関わっているそうだ。
"全壊"のマンションが復旧するまで約1年。大規模修繕にかかる手間や時間を考えれば、その対応の速さが分かる。とはいえ最初の数カ月は誰もがはじめて経験した災害の対処に追われ、また管理組合で地震保険に加入していなかったこともあり、組合として活動することはほとんどなかった。
復旧への動きが加速したのは、原田さんが起こした行動がきっかけだった。被災から約1カ月後の4月15日、自宅の「り災証明書」を申請。2カ月後の6月21日に証明書が発行され、マンション全体が"全壊"と判定された。それを受け、まず居住者に「被災者生活再建支援制度」の利用を勧めた。申請時に必要となる「り災証明書」は記入見本を掲示し、記入済みの申請書はまとめて一括で区役所へ提出。皆が生活を復旧できるよう情報を提供し、個々で行う手間をサポートした。さらに建物の復旧には専用の組織が必要と考え、災害復旧委員会を設立。
「早い段階で災害復旧委員会を作ったことが、復旧を促進する流れにつながったのだと思います」と原田さん。自ら委員長となり、そのほかの委員には建築や工事に関する知識を持つ居住者を選出。「私たちの場合は事後に有識者を探したのですが、居住者にどのようなスキルを持つ人がいるのかを知っておくと有事に慌てずに済むと思いま
す」
上から、理事長および災害復旧委員長・原田雅博さん・前理事長・庄子末松さん、前副理事長および災害復旧副委員長・大島時子さん