お母さん

はい、もしもし。 あ、はい。お世話になっております。
えっ、あ、そうですか。はい、分かりました。ではそれでお願いします。

フキコ
電話、誰からだったの?

銀行からよ。定期預金が満期になるからお知らせですって。


へー。でもお母さん、電話の相手をちゃんと確認した? 
まーたお兄ちゃんに「その電話、本当に銀行からだったのか?」って言われちゃうよ~?

あー、忘れてた! でも大丈夫よ。そのまま継続でってお願いして終わったから。
お金を払えとか、もっともらえるとか、おかしな話にはなってないもの。

エイジ
だけど詐欺の犯人は言葉巧みに騙すからね。
冷静に考えればおかしな話でも、話を聞いている間はそう思わせないのが怖いところなんだよ。


わっ! さっそく現れた!

なんだよ、人をおばけみたいに。
それでお母さん、今の電話を思い返してほしいんだけど、相手が銀行の人だと思ったのはいつ?


いつって……。
そういえば「銀行です」って言われた瞬間、疑いもなく銀行の人だと思って聞いていたわ。


大体の人は、電話の相手を疑ったりしない。
それは身内を名乗っても、役所や警察、銀行や企業でも同じなんだ。
「知っている名前」や「信頼のある名前」には特に弱いんだよね。

聞いたことのない会社からだったら警戒するけど、有名なところからだと「何の用かしら」って思いながらも、とりあえず話を聞いちゃうかもしれないわね。

そして話を聞いているうちに、相手のペースに飲まれてしまう。
気付いた時には個人情報を漏らしていたり、お金やキャッシュカードを渡したりしている、というわけなんだ。


名前で信じちゃっただけで、そんな大変なことになっちゃうの!?

そう、電話の詐欺で一番怖いのは、実は会話の一番初めなんだ。
話を聞いてしまうのも、相手の言うことを信じてしまうのも、そもそも相手の名前を疑っていないから。
だから相手が名乗っているとおりの本物なのかを確認するのは、とっても大事なんだよ。

でも一回受けちゃったら切りづらいわよねぇ。
「ちょっとこっちで確認しますから」なんて言えないわ。


そこで電話番号表示サービスや、留守番電話機能を利用するんだよ。
知らない番号からの電話には出ないで、一旦留守番電話で受けて対応しなきゃ。


留守番メッセージに電話番号が吹き込まれていても、自分で調べた番号にかけ直すのよね!

でも、初めが怖いって、すごくよく分かるなぁ。
私もテストで問題を読み間違えること、よくあるもん。
回答を間違えちゃうのも、そもそも問題を勘違いしてるから、だよね!

テスト問題も電話の相手も、確認は大事だな、フキコ……。




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