お母さん: 本当になくしたの? |
フキコ: 本当だってば! |
お父さん: もしかして、フキコが探してるのはこれかい? そこの隙間に落ちてたよ |
あー! それだよそれ! ほらねー、隠したんじゃないってば! |
疑って悪かったわ。ごめんなさい。 |
お母さんたら、もー。 |
エイジ: 一体何をもめてたんだよ。 |
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それをお父さんが拾ってくれて、お母さんが信じてくれたってことか。 |
あー、見つけてくれてよかったー。 |
まるで劇場型の詐欺だね。 |
ちょっとちょっと、詐欺ってどういうことよ。 騙してないってば。 |
あはは、ごめんごめん。 騙したってことじゃなくて、第三者が出てきたってことがさ。 |
第三者が出てくると、どうなるの? |
たとえば、オレオレ詐欺でよく使われる口実に「電車にカバンを忘れた」っていうのがある。 よく使われるから、この言葉を聞いたら注意しましょうっていうのも注意喚起ではよく聞くよね。 |
お兄ちゃんがこの前言ってた「風邪を引いた」とか「のどが腫れた」も同じだよね。 |
そうそう。 だから「風邪を引いて声がおかしい」とか「電車にカバンを忘れた」っていう電話が来たら、 怪しいって思うだろ? |
めっちゃくちゃ怪しいね! |
だけどそこに第三者が入ってくる。 警察や駅員から「息子さんのカバンが見つかりました」って電話があったら、 「あっ、さっきの話は本当だったんだ」って思わないか? |
確かに信じちゃう! そっか、他の人が言うから、つじつまが合ってるように思っちゃうんだね。 |
劇場型は他にも、他人に迷惑がかかっているから自分もなんとかしなきゃと思わせたり、 パニックにさせて考える暇をなくしたり、いろんな効果がある怖い手口なんだよ。 だけど本物の子どもや孫に確認すればウソかホントか一発で分かるから、 確認電話は大事ってことなんだよな~。 |
ちょっとフキコ! こっちに来なさい! なによこのテストの点数は! |
うわあ、お母さん怒ってるよ。 やっぱり隠しておけばよかったかなぁ。 |
僕はとりあえず、お父さんが共犯じゃなかったことが分かって安心したよ。 |