フキコ
うん、分かった。じゃあ気を付けてね。

お父さん、熱があるから会社早退して、医者に行ってたんだって。
もう声がガラガラで、別人みたいだったよー。

エイジ:
うーん……

どうしたの、お兄ちゃん。
何をそんなに考え込んでるの?


その相手、本当にお父さんだったのか……?

もー、またそれー? 
電話に「お父さん」って表示されてたから大丈夫!
番号表示サービスに加入してるからね!

じゃあ表示がなかったら?


そしたら怪しむかもしれないね。
だってすっごい声だったもん。


ところがそうでもないんだよ。

なんなのよ、もー!


この前、電話の相手を疑わないっていう話をしただろ?
人間は、一度思い込んだことは、自分ではなかなか否定することができないんだ。


でも声が違ってたらおかしいと思うんじゃない?

そこで犯人は「風邪を引いて」とか、声が違うことについて言い訳をする。
そうすると、「ああやっぱりね、自分が思った通りの相手に間違いない」って、
確認できたことで安心しちゃうんだ。

否定するどころか、ますます信じちゃうじゃない!

そこが狙いなんだよ。
「風邪を引いた」、「のどが腫れた」、「首にしこりができた」というのは、オレオレ詐欺ではよく使われる口実なんだ。

じゃあこれを覚えておいて、この言葉が出てきたらウソだと思えばいいんだね!

そう簡単にいけばいいんだけど、さすがにそれだけでは決めつけられないからなぁ。
頭の隅で警戒しておいて、お金の話が出たらすぐ通報できるように、心の準備をしておくといいかもね。

お父さん:
ただいま~。
うー、ゴホゴホ!

あっ、お父さん! お帰りなさい!
大丈夫だよ、お父さん。
声が違っても、今は顔を見て本物だって分かるから、安心してお金の話をしてもいいんだよ。

お、お金の話?
一体なんのことだい?





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