エイジ

……というわけで、詐欺は人の心理を巧みに利用して、相手が気付かないうちに騙しているんだよ。


お父さん
うーん、そうは言っても、やっぱり実感はないんだよなぁ。
どうしても他人事に思えちゃって。

お母さん
そうねぇ。親には気を付けてほしいと思っているけど、まさか自分の親にそんな電話がかかってくるなんて、本当に思ってるわけじゃないものね。

誰だって自分や、自分の身内に災難が降りかかってくるとは思わないものだよ。
いつも心配ばっかりしていたら、生きていくのが大変だからね。
だから「自分は大丈夫」って楽観視するようにできているんだ。

フキコ
分かるわ~。毎回テストの心配してたら疲れちゃうもんね!
それでいっつも「まさか今回もヒドい点数なんてことはないよね~」って思うんだけど、どういうわけか毎度ダメなんだよね~。


テストの時にするのは心配じゃなくて、勉強だからね、フキコ。

前向きに生きていくためには楽観的になるのも必要なことだけど、それが逆に仇になってしまう。
フキコが「まさか」って思うからテスト勉強をしないみたいに、「まさか詐欺になんて遭うわけない」っていう気持ちがあるから、対策を取ったりしないんだよね。


なるほど。「まさか」が行動を妨げるのね。



お母さん、いいこと言うね!



逆にフキコが「もしかしたら今回も赤点取っちゃうかも!」と思えば、勉強する気になるってことかな。

つまり「もしかしたら」は行動を引き起こす、ということになるわね。


ねえ、私のテストで喩えるのやめてよ~!

「まさか」と思った時こそ、「もしかしたら」に置き換えてほしいんだ。
「もしかしたら詐欺に遭うかもしれない」と不安に思った時、何か行動に移さなきゃという気持ちになるのも、人間の心の動きなんだから。


詐欺に利用されるだけじゃなく、自分たちが身を守るためにも利用するのね!

あー! 分かったよ! そういうことね!
私が取っておいたプリンがなくなっちゃったの、まさかとは思ったけど、もしかしてお兄ちゃんが食べちゃったんじゃないの~?

確かにプリンを食べたし、それは悪かったけど、そういう「まさか」と「もしかして」じゃないからな!





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